Sibylle Baier

Sibylle Baier / Colour Green

1970年代にドイツで舞台女優としても活躍していたシンガーソングライターSibylle Baierによるアルバム。70年から73年にかけて自宅でプライベートに録音された音源を、2004年に彼女の息子の手によりCD化、その後Dinosaur Jr.の J Mascisの協力もあって2006年にリリース。

シンプルなギターによる弾き語りに素朴な味つけ。もの悲しさのある 儚げでつぶやくような歌声が印象的。素朴な感じだけどジワジワと心に染み渡ってくるスルメアルバム。リリースしてくれた息子に感謝。

70年代からタイムスリップしてきた音楽。梅雨はこれを聴いて静かにやり過ごす。Judee SillやDevendra Banhart好きなら外せないアシッド・フォークの名盤。

Tunng

Tunng / …And Then We Saw Land

イギリス、ロンドン出身のフォークトロニカ/エクスペリメンタルなインディーバンドTunngによる2010年にリリースされた4thアルバム。

初期の頃はアコースティック + エレクトロニカ/フォークトロニカなサウンドに実験的な試みもみえる音楽性が強めだったけど、この4thアルバムはよりアコースティックな質感を大事にしたオーガニックでカラフルなサウンド。アコギ、バンジョー、ピアノ、メロディカ、鉄琴などの生音のソフトな演奏と、男女ヴォーカル、コーラスのアンサンブル。何人ものコーラスを重ねてある力強い曲や、初期の頃からもみられるエレクトロニカなサウンドも少々、しんみりしてしまう歌声、サウンドに穏やかさをたたえたポップな楽曲。

メロディセンスが抜群で聴きこむほどに色んな一面やアイディアが見えてくる中毒性のあるスルメ盤。レトロな雰囲気や音楽オタクな匂いのする大好きなバンド。

ライブはこんな感じ。

Sufjan Stevens

Sufjan Stevens / The Age Of Adz

アメリカ、ミシガン州デトロイト出身のシンガーソングライター、インディーフォーク界の奇才Sufjan Stevensによる2010年リリースの「The Age Of Adz」 各音楽メディアから絶賛された前作「Illinois」以来5年ぶりとなるフルアルバム。

この印象的なアートワークはルイジアナ出身の黒人看板画家、アウトーサイダーアートの才人としても知られるRoyal Robertsonが手がけた作品を引用したもの。精神分裂症を患っていた画家の狂気や不安や表現したような内省的で生々しく、痛みさえ感じるかのような楽曲。

どことなく影のあるダークな印象も漂う音楽だけど、メロディはすごく美しくてポップ。だからこそより強烈にインパクトを残します。

エレクトリックなサウンドをふんだんに取り入れ、シンセやドラムマシンも導入。ノイズのような歪んだサウンドを使ってポップな楽曲に昇華してます。アコースティックなサウンドも健在で、ホーンやストリングスなども多用したオーケストラ的なサウンド、重ねたコーラス、ヴォーカルが見事に調和したエキセントリックな作風。ラストのImpossible Soulは25分を超える大作。

Crystal Fighters

Crystal Fighters / Star of Love

フランスのパリにある音楽インディーレーベル「Kitsune」音楽だけでなくアート、ファッションなど様々なプロデュースを行っているクリエイター集団。そのキツネから2009年に出した1stシングル、2ndシングルが好評を集め一躍注目を浴びることとなった スペインのナバラ出身(を含む英米人)で現在はイギリスロンドンを拠点に活動する5人組インディーバンドCrystal Fightersによる2010年にリリースされたデビューアルバム。

バンド名の由来は、ヴォーカルLaureのおじいさんの遺品であるまだ未完成のオペラの原稿で(おじいさんが秘密で書いていたらしく、
宇宙の謎とか、哲学的で壮大な内容だったらしい)そこに記されていたタイトル”Crystal Fighters”からとった名前みたいです。なんてドラマチックでロマンを感じる話なんだ。

スパニッシュギターなどアコースティック楽器のオーガニックな響きとシンセサイザー、エレクトロニクスの入り混じったゴリゴリとしたビート、ベース音が特徴的で土着的な感じもあるポップなダンスミュージック。

スペインのバスク地方の民族音楽、伝統楽器のチャラパルタ(長い木の角材を2人1組になってバチで叩いてリズムを刻む楽器)などからインスピレーションを受けてたり、80年代初期のスペイン産のポップス、パンクからの影響も受けてるみたいです。そういう民族性などをとり込んで、より面白みを増した楽曲たち。
情熱的で妖しげなメロディが魅力的。 テンションあがります。

Carl Craig & Moritz von Oswald

Carl Craig & Moritz von Oswald / Recomposed


1898年にドイツで創設された、世界で最も長い歴史を持つクラッシック 音楽レーベル「ドイツ・グラモフォン」世界的な指揮者やピアニスト、 オーケストラなど錚々たるメンバーが集結しているプロフェッショナルなレコードレーベル。そんな由緒正しき老舗レーベル、グラモフォンが 所有しているクラシックの名曲を、テクノ系アーティストが自らの 解釈で再構築するとい「Recomposed」シリーズの第3弾(第1弾はアーティストはMathias Arfmann、第2弾はJimi Tenor)

2008年作である今作は、デトロイトテクノ界の重鎮Carl Craig と 90年代ミニマルテクノシーンを牽引してきたレーベルBasicChannelの創設者でもあるMoritz von Oswaldがタッグを組んだ実験的な意欲作。この2人がグラモフォンから選曲した音源は、80年代後半に録音された ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏によるラヴェルの「ボレロ」「スペイン狂詩曲」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」

イントロは瞑想でもできちゃうようなアンビエントで厳かな立ち上がりで、 そこから徐々に徐々にパーカッションや管楽器の切り取られてエフェクトの かかったビートが加わります。フルートまでもがビートに組み込まれ、ブツブツっと 流れるパルス、エレクトロニクスの導入。じわじわと静かな盛り上がりをみせる ミニマルな構成。後半の展開がかっこいいです。1年以上かけて2人が綿密にやり取りをして再構築されたクラシックとテクノの融合作。

曲の主旋律とかを切り取っているわけではなく、演奏を完全に素材として切り取って配置、反復、展開していてスティーブ・ライヒのように色んなものを削ぎ落としたストイックなサウンド。ミニマル・ミュージック好きな人には病み付きな1枚。